2019/12

※2020年のページ作成中に起こった操作ミスにより、12月に記載した約20日分のブログを消去してしまいました(現在大変悲しいです。)

 そのため12月をまとめたハイライトに差し替えます。(悲しんでばかりもいられず、2分で立ち直りました。)

キャベツについて

 12月初旬、約4トンの収穫を予定しているキャベツの出荷先が確定しておらず、ヒヤヒヤの状況から始まりました。結果的にこちらのキャベツは羽村瑞穂、八王子の給食の発注を頂いたことで1・2週目で2トン以上出荷し、最終的には全て出し切れただけでなく、来年はこの倍作ることのできる見込みが立つほどの問い合わせをいただく結果になりました。ありがとうございました。

 

  出荷や来年に向けた受注については大きく良い結果を得ることが出来たキャベツですが、生産や周知の面では課題が残りました。

 

 ◎大きさに伴う割れについて

 当園のキャベツは給食用に生産しています。給食では玉数ではなく重さでの発注であることから、1玉あたりの大きさをいかに大きく・重く出来るか、が生産時の課題になります。キャベツは1.2キロ程度(直径約20センチ)から市場出荷されていますが、水分量や日光次第で大きさが変わり、大きいものだと1玉4キロ程度まで成長します。個体差があるため大きくしすぎると表面や内側で葉が割れることもありますが、こちらは栄養・衛生面共に何の問題もありません。(また、味についても大きさに左右されることがないため、スーパーで購入する際にも重いものを買うことが単純にお得であると言えます。)

 当園では、出荷後に給食センターの皆様が給食を作る際に、なるべく個数が少なく作業が少なく済むように、大きめのキャベツから出荷するように心がけています。割れが酷く収穫時にわかる程度のものは出荷せず省くようにしておりますが、稀に出荷の移動時に割れてしまったり、葉を剥いたら割れている、ということもございます。栄養面、衛生面でご不安な場合、その点についてはご安心頂けますと幸いです。作業性で不便な場合は誠に申し訳ございません。

 

 ◎葉を剥いたときに現れる黒い染みについて

  こちらはキャベツの「内部黒変症状」と呼ばれるものです。野菜は外の畑で生産している関係から、寒い日には霜が降り、凍ることもあります。キャベツについた水滴が凍り陽が出てその水滴が溶けることの繰り返しや、一部水滴が凍ったまま長時間キャベツ内部で残ることによって、葉の一部が表面的に壊死した状態が左の写真のような黒変症状となり現れます。こちらの黒変は色が変わってしまっただけですので衛生・栄養面には影響がないため調理していただいて問題ございません。気になる場合には当該黒変部分のみ除去していただくか、葉を1枚捨てて頂ければ通常通りお使いいただけます。

 

 上記とは別にキャベツの変色についてはもう1種類あります。葉をめくった時に全体的に茶色っぽくなりドロドロに溶けている、という状態です。こちらは葉が腐っておりその葉については食べられません。当該腐り部分を除去すれば食べることが出来ますので、スーパー等で購入し腐りを見つけた場合は除去して使えば大丈夫です。(給食出荷にはコチラのキャベツについてはなるべく除去するようにしていますが、混入があった場合は大変申し訳ございません。お気兼ねなくご指摘頂けますと幸いです。)

 

 以上が12月のキャベツでの課題でした。今年の反省点を活かしながら、来年は今年の倍以上生産しようと計画しています。

 

 当園ではJGAPの基準に従い生産、収穫、出荷には細心の注意を払っておりますが、行き届いていない部分も多分にあるかと存じますので、今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 


ネギについて

 ネギは12月は月刊を通し安定的に出荷しました。給食では一週間に約200キロ程度、小売では近隣のベイシア青梅インター店様の定番コーナーに出し続け、給食と小売りを合わせて月間で3トン程度出荷いたしました。

 非常に太く良いネギが作れており、根と葉を切る、皮を剥く、袋詰めをする等の調整作業についてもメンバーの差がなくスムーズに行えています。

 

 当園では収穫したネギを上の写真のようにネギ用の作業場(ビニールハウス)内で保管しています。

 冬季は気温が低くなることからハウス内で保管していても凍ってしまうことが多く、朝イチで調整しようとするとネギが剥きづらく時間がかかってしまうなど、身体面、効率面の両方で負担がかかります。

 当園では給食センターや小売店など出荷先・取引先との時間の都合から冬季でも朝7時から働いていますが、この時期の朝の外作業は寒さでつらいため、なるべく日が昇ってからネギの調整作業を行うようにしています。

 

 12月中旬、ネギ苗の定植を行いました。ネギは種蒔き(播種)をしてから1~2か月程度で畑に定植します。畑では約6~7ヶ月かけて大きく育て出荷します。もちろん寒い時期や雨の降らない時期も含め、ネギを育てるには約8か月~10か月程度の時間がかかります。

 この時期の定植には、左の写真のような布(不織布)が必須です。当園では「青パオパオ」というものを使っています。こちらには、ネギを外の寒気から守り一定の気温を保つ、日光の成分からネギの成育に良い成分以外を遮断しより効率的に育つようにする、といった効果があります。

 台風、大雨、乾季、降雪、害虫・・・。自然を相手にする農業の中でも、長い間畑にあるネギは天候の影響を受ける機会が多いです。その中で何度も畑に足を運び、生育の様子を見ながら次に何をすべきかを考え対処していきます。

 長い時間と手間暇をかけて育てたネギが、給食になって東京の子供たちを育てる。また、地元で育った人材が新たに参加して、一緒に次の地元の子供たちが食べるものを育てる・・・。

 売上はもちろんですが、それ以上に自分たちの手で育てた作物によって東京の未来が作られていくことに大きなやりがいを感じています。


コマツナについて

 12月のコマツナは例年に比べ非常に出来が良かったです。今年からこの時期は、冬の寒さに強い「いなむら」という品種を育てています。この12月は雨が降ることも多く例年ほど晴が続いておらずコマツナを育てるには難しい天候ですが、品種との相性が良かったために育ちが良く、給食、小売と途切れずに出荷できています。

 

 コマツナは東京が原産の野菜です。そのため、東京都内各所の給食においても、他の都道府県より多く使用されています。当園のコマツナは現在、羽村市瑞穂町の学校給食、八王子市の学校給食、新宿区中野区練馬区等を中心に23区各所の学校給食でもご使用いただいています。

 予想以上に大きく育ったため年末から近隣のスーパーにも出荷しています。この時期は小売りで野菜が年間で一番売れる時期、普段は給食でしか食べてもらえないコマツナですが、地域の皆様にも食べて頂けることに喜びを感じています。

 

 ありがたいことに給食での注文が増えているため新年度は今年の4倍程度の生産を見込んでいます。


サツマイモについて

 10月末に収穫していたサツマイモの小売用の出荷を終えました。

 11月中旬から店頭での反応が良くなり、約2か月をかけて出し切りました。

 

 今年から挑戦したサツマイモ、シルクスイート、紅はるかという今流行りの水分量が多く甘い品種を作りました。

 こちらも給食・小売り共に良い反響をいただいたため、来年は倍以上作りたいと考えております。

 

 サツマイモは10℃以下での保存が続くと腐り始めます。そのため、今年一番苦戦したのは12月に入ってからの保管方法でした。今年はアルミシートで包むことによって保温しましたが、来年生産量が増えるに合わせて保管法も難しくなるため、今から対策を考えています。


◎12月の取組◎

見学の受入を実施しました

 12月は東京都農林水産振興財団が主催する「とうきょう農業PRツアー」の見学の受入を実施しました。農業に興味のある、就農を希望する方々をご案内し、東京での農業についてお話いたしました。

 農業に興味のある方が多く、熱量も高い印象を受け、東京農業の未来に凄く希望を感じる体験でした。

 

 当園では随時見学の受入を実施しています。来年2月~3月ごろには羽村瑞穂学校給食センターの皆様をお招きし圃場案内を実施する予定です。都内各所の給食関連業者様、学校給食の関係者様、加工業者様など、いつでもご連絡くださいませ。

 

 

地元の企業と協力し大豆を出荷しました

 いなげやドリームファーム様と協力し大豆を生産致しました。こちらの大豆は2月の豆まき用として小売で販売されます。

 今年は約520キロ程度出荷いたしました。

 

 畑で同じ野菜を育て続けると「連作障害」が発生し良い状態の野菜を生産することが出来なくなります。そこで、違う野菜を回して生産することによって対処していますが、大豆を育てることは緑肥等と一緒で土に栄養を与え土壌の状態をよくしてくれる効果があり、大豆は人にも土にも良い万能な食べ物と言えます。

圃場の整備を行っています

 こちらは当園のガラスハウスの様子です。ガラスハウスの窓の清掃を行いました。花粉が付着した上に土や埃がつくことによって赤黒くなっていたガラスを水とブラシで洗いました。

 ガラスハウスは保温性が高く、台風などで倒壊する恐れが少ない点で優れていますが、ガラスが汚れてしまうと透光性が下がり野菜の生育を妨げてしまいます。そこで当園では1年に1度この時期にガラスを洗い、新年の野菜の成育に備えるようにしています。

 

 夏場は暑くなりすぎるため、東京でのガラスハウスの活躍時期は冬がメイン。この冬は東京都内の給食用のコマツナを育てています。よりよいコマツナを東京の子供たちに届けられるよう、圃場整備も大切な仕事です。

 給食出荷用のコンテナを洗浄しました。年末に入り給食の出荷が落ち着いたため、それぞれ水洗いし天日干しで乾燥させました。

 菌はいろいろなものを介して移動します。特に寒い時期だと水の乾燥に時間がかかるため丁寧に干すことが大切です。

 当園では出荷のたびにコンテナを洗浄、乾燥させていますが、毎年この時期には、日ごろよりも一層丁寧に洗浄乾燥を心がけ、スタッフ間での意識の共有に努めるとともに新年からの出荷に備えています。

 年末には日ごろ手が届かない部分の清掃も心がけています。

 当園では年間を通してなるべく定温で野菜を保管するために保冷庫を使用しています。給食用の大量の受注を頂戴しした時や、多品目の受注を頂いたとき等調整済みの野菜を出荷までの間保冷庫に保管し品質の維持をしていますが、給食の出荷が続く時期はなかなか中身が空かず掃除の手が行き届かないのが現状です。そのため、夏、冬、春休みのように長期間学校給食の出荷が止まるときには必ず清掃をしています。

 保冷庫内の簀子を出し水洗い&日干しでの乾燥、保冷庫内はアルコールを使用し除菌しながら清掃します。常に衛生的な野菜を届けるべく、日ごろ使用する道具の管理にも気配りを心がけています。

 上記の他にも、日ごろ使っている作業場、休憩所、車両の清掃や当園の畑周辺の掃き掃除、側溝の清掃、機材の清掃を行いました。春夏も清掃は行いますが、時間が出来たら雑草取りを行うことが多く年末は細かいところまでしっかりと清掃をします。


生産技術力の育成をしています

 「種を播いたら芽が出てくる」。このように思いがちですが、いざやってみると一切こんなことはありません・・・。このやり方でやった場合、きっと発芽率は2割程度、出荷できるような形に育てられるのは何%あるのかわかりません・・・。

 

 上記のように、野菜を一定以上の品質で出荷することは簡単ではありません。1日として同じ天気ではない自然を相手にしていることから、種を播いても必ず目が出るわけではなく、苗を植えても必ず同じ形で育つわけではないからです。

 例えばネギを育てる工程では、収穫時期や土壌、地域に合わせた品種を選び、栄養分の整った土に種を播き、一定量の水を与えて低温で管理し、芽が出たら日光に当てつつ日々水やりをし苗を育て、一定の大きさに育ったら耕した畑に定植し、雨が降らなければ根が畑に活着しないために水やりをし、季節によっては保温のために不織布を使い、病気や害虫から守るため定期的にチェックし、生育を妨げる雑草を除去し、大きく育てるために肥料を与えた、ネギの白い部分を伸ばすために土寄せをする。これらの作業を約8~10か月の間繰り返し行うことによって一定品質のネギが出来ますが、出荷までに行うことはこれだけではありません。収穫したら根と葉を切り、数枚葉を剥いた状態で土汚れがついていたら水洗いか水拭きします。

 以上の工程を経てようやく出荷に至ります。工程の理解はもちろん大切ですが、全行程の中でもよいネギを作るうえで重要なのが「品種選び」と「畑の野菜を定期管理し今何をすべきかを把握し実施すること」です。

 天候の影響を大きく受ける農業は、地域や土壌、季節によって合う品種が異なります。例えば冬の寒さに強い品種を夏場に育てても品質の向上が認められないように、状況に適した品種を選ぶことが良い野菜を生産するための第一歩です。次に、今現在畑の野菜がどのような状況なのかを目で見て理解し、何をすべきなのかを判断する力が求められます。日々変わる野菜を取り巻く状況、野菜の状況に対して適切な処置を施していくことが、安定生産を実現するうえで求められます。

 羽村市瑞穂町、福生市、八王子市、東京23区と給食の出荷を少しずつ増やしてきた当園ですが、現状改めて東京都内の学校給食に東京都産の野菜が不足していることを感じています。そこで、新年度からの生産を拡大し、都内のより多くの子供たちに野菜を届けられるような生産を使用と考えたときに、より多くの「野菜を見られる目」が必要だと感じています。今は地元の東京都立瑞穂農芸高校から今年度入社した1年目の遠山さんに社長の剛さんがポイントを伝えている状況ですが、今年中に少しずつ、パートアルバイトのメンバーからも野菜を見ていて気付いた点が挙げられるような体制を整えていきたいと考えています。